モースの系譜

サーズデー→モース→ルイス→ハザウェイ→マードックスというモースを中心としたオックスフォードの刑事の系譜はすごい。モースとハザウェイは性格的に似ているので、間に入ったルイスの苦労が大きいところが面白い。つまり、ルイスは上司で苦労し、部下でも苦労することになる。ルイスを演じているケヴィン・ウェイトリーは約30年間ルイスを演じ続けていたわけで、他の役を演じてる姿が想像できない。因みに、ルイスをやる前に彼は、ミス・マープルでも刑事をやっている。結局、この人は刑事にしか見えない。しかし、イギリスの刑事物は、カーチェイスもないし、撃ちあいもないし、ギャングもいないし、警官がドアに体をぶつけて突入することもないし、なんとものどか。そのかわり、普通の人間の闇がすごい。

ポール・テイラー

アメリカのモダンダンスの振付家、ポール・テイラーが2018年に亡くなっていたことを最近知った。マーサ・グラハムやマース・カニングハムのカンパニーで踊った後、自分のカンパニーを立ち上げ、ニューヨークで定期公演をするアメリカを代表するモダンダンスのカンパニーに作り上げた。学生時代は水泳をやっていたそうで、長身で体格が良く、ダンサーとしてマーサ・グラハムには気に入られていたようだが、さすがに彼の踊る姿は見ていない。彼の作品は、自由で楽しいという印象がある。色彩的にも華やかで、明るい。音楽はほとんどがクラシック音楽を使用している。彼の作品は世界中のバレエ団のレパートリーにもなっている。そう言えば、最近(21世紀に入ってから)、モダンダンスのカンパニーが来日しなくなったような気がするが、どうしてだろう。

南阿佐ヶ谷

シアターシャインで、激団リジョロの「Re:organ」を見る。舞台も客席も泥だらけで全体が森のイメージ。思っていたより、過激ではなかった。休憩なしで2時間以上の芝居を見るのは久しぶりで疲れたのか、終演後客席で派手に転ぶ失態。

ストラヴィンスキーとバレエ・リュス

クラシカジャパンで、マリンスキー・バレエの「ストラヴィンスキーとバレエ・リュス」を見る。バレエ・リュス時代にストラヴィンスキーの音楽で作られた作品のトリプル・ビル。フォーキンの「火の鳥」、ニジンスキーの「春の祭典」、ニジンスカの「結婚」の3本。「火の鳥」と「春の祭典」は派手な美術、鮮やかな色彩の衣装、登場人物が多く、ストーリーが複雑で、エキゾティックな雰囲気で作られている。20世紀の初めのヨーロッパではこういう作品が好まれたのであろう。少し後に作られた「結婚」はだいぶ趣が違う。結婚の儀式をバレエ化した作品で、ストーリーはなく、セットはシンプル、衣装は地味。古い作品ではるが、上演価値があるのは、音楽がただのバレエ音楽ではなく、音楽そのものとして素晴らしいからであろう。

神楽坂

セッションハウスで、ダンス”カトルカール”プロジェクトを見る。振付もダンサーも全員女性による四組の公演。電車賃をケチって行きも帰りも飯田橋から歩く。今日も人出が多くにぎやか。

三軒茶屋

シアタートラムで、キ上空論の「脳ミソぐちゃぐちゃの、あわわわーで、褐色の汁が垂れる。」を見る。タイトルはよくわからないが、わかりやすい作品。上演時間は2時間、楽しく見られた。帰りは、半年ぶりに渋谷へ。東横のれん街、フードショウの場所が移動していて、あちこち歩き回る。しかし、人の多さには驚き。

六本木

劇団俳優座5階稽古場で、劇団俳優座の「心の嘘」を見る。サム・シェパードの1985年の作品。35年前の作品だが、ほどんど現代劇。アメリカの進歩していない部分が見事に描かれている。誰も携帯電話を持っていないことに違和感がない。

1984

クラシカジャパンで、イギリス、ノーザン・バレエの「ジョージ・オーウェルの1984」を見る。ジョナサン・ワトキンスの振付。1984年ももう30年以上前のことなので、初めて読んだ時とはだいぶ印象が違う。高橋宏尚がチャリントン氏を踊っている。

モーツァルティアーナ

チャイコフスキーの組曲第四番「モーツァルティアーナ」。タイトル通り、モーツァルトの曲をベースに作曲されている。バランシンは、30年代からこの曲に振付ているが、亡くなる二年前の1981年、改めて振付をしている。小品を除くと、バランシン最後の作品と言える。バランシンは組曲第三番にも振付していて、それは全曲上演されるより、最後の「テーマとヴァリエーション」が独立して上演されることが多い。こちらは、かなり華やかな、いかにもロシアバレエといった作品だが、「モーツァルティアーナ」はそれとは全く異なる。出演者はソリスト3人、アンサンブルが4人、少女のアンサンブル4人と少なく、衣装はほとんど黒と白という地味な作品。原曲は、「ジーグ」「メヌエット」「祈り」「主題と変奏」の順になっているが、バランシンは、「祈り」「ジーグ」「メヌエット」「主題と変奏」の順にしている。オープニングの「祈り」はスザンヌ・ファレルと4人の少女によって踊られるが、明りが入って中央にいるスザンヌ・ファレルが顔をあげた時の美しさには息をのむ。ゆっくりしたテンポなので、複雑な振りはないが、その中で、バランシンが伝えようとするものが、しっかり体現できている。もう、こういうダンサーは出てこないだろう。ここを見るだけで、この作品はスザンヌ・ファレルのための作品なのだということがわかる。4人の少女たちは、ファレルの分身ということなのだろうか。「主題と変奏」は、ファレルとイブ・アンデルセンのパ・ド・ドゥ。アンデルセンはマーティンスやリューダースほど背が高くなく、ポイントで立つとファレルの方が高くなる。しかし、この作品で敢えて彼をパートナーにしたのは、パ・ド・ドゥだが、ソロの部分が多いためか、全体の印象として統一感を目指して(身長のある女性たちと、それと同じくらいの男性)いたのか? 全員が登場する、最後のヴァリエーションはこじんまりしているが素敵だ。バランシンの作品は、作品ごとに著作権を持っている人が違うということだが、この作品は誰が持っているのだろうか。あまり上演機会がないのが残念である。

ペールギュント

クラシカジャパンで、ウィーン国立バレエの「ペールギュント」を見る。グリーグの組曲の他、ピアノ協奏曲を使い、エドワード・グルーグが構成、振付した作品。イプセンの原作は長くて難解だが、2時間のバレエにまとめると、わかりやすい。

住吉

ティアラこうとう小ホールで、住吉亭春風亭正朝独演会を見る。「お見立て」と「竹の水仙」の二席。ソーシャルディスタンスをとっての客席だが、3月の時よりも、お客さんは入っているような印象。換気のため、開口一番(一蔵さん)の後に休憩というのは、ちょっときつい。5ヶ月ぶりの夜の外出だが、外も電車の中も閑散としていて、昼よりも安全かもしれない。

ライブ配信

ライブ配信で、あひるなんちゃらの「畳子力学」を見る。公演は、いつものように駅前劇場で、無観客で行われている。関村さんの前説、後説もいつものよう。観客の笑い声が聞えないのが違うところ。お金を払ったものの、見られなかったらどうしようと、直前まで不安だった。

ファラオの娘

クラシカジャパンで、ボリショイバレエの「ファラオの娘」を見る。プティパの処女作ということで、復刻上演された。音楽はプーニ。エキゾティックでスペクタクルで、派手で、当時としては喜ばれたらしいが、音楽は月並みだし、ストーリーは荒唐無稽すぎるし、主役のバレリーナの見せ場がやたら多い。有色人種の役を肌にメイクをして踊るというのも違和感がある。淘汰された作品には、やはりそれなりの理由があるものだ。

赤坂見附

赤坂レッドシアターで、劇団NLTの「オウムとにわとり」を見る。40年近く前に紀伊国屋ホールで見た作品。賀原夏子さんの可愛らしさは忘れられない。帰りは赤坂に出て、この前、岸田さんが買物をしていた吉池で買物。赤坂駅の近くにマルエツが出来ていたので、そこでも買物。赤坂駅周辺はすっかり変わっていた。

VHSの整理 ヌレエフの「ジゼル」

ヌレエフとリン・シーモア主演の「ジゼル」。1979年に映像用に収録されたもので、バイエルン国立歌劇場バレエの公演。ヌレエフが演出にも参加している。ヌレエフのアルブレヒトは無邪気で、好きな女の子と遊ぶのを楽しんでいる様子が可愛らしい。特徴的なのは、ペザント・パ・ド・ドゥがカットされていること。ペザントは、後で加えられたもので、音楽もアダンではなく、ブルグミュラー。ジゼルの悲劇と対照的な幸せなカップルの踊りとして意味があるとされている。また、身長の低いダンサーにとっては大事な役であるし、ジゼル役のダンサーが休むためにも必要とされている。このビデオでは、ペザントの代りにジゼルとアルブレヒトのデュエットが挿入されている。また、本来、ジゼルがアルブレヒトに見せるソロがバチルダのために踊る設定になっている。因みにペザントをカットした演出は、後にバリシニコフがABTの芸術監督時代に行っている。

シュレプファーの「白鳥の湖」

クラシカジャパンで、バレエ・アム・ラインの「白鳥の湖」を見る。ドイツ、デュッセルドルフのバレエ団。マーティン・シュレプファーの振付なので、音楽とストーリーは原作のままだが、振付は全くモダン。それはそれでいいのだが、人間関係が複雑になりすぎて、マイムが多すぎているせいか、ちょっと長すぎる。振付自体は面白いが、これだけ長いとちょっとあきる。「白鳥の湖」は、やはりグリゴロヴィッチ版が原点なので、思わずボリショイの舞台を見てお口直しをさせてもらった。

5ヶ月ぶりの下北沢

『劇』小劇場で、グッドティスタンス第二章の「水の孤独2020」を見る。去年、2か所の古民家で見た作品の初の劇場での公演。古民家は狭かったり、暑かったり、見にくかったりするが、やはり古民家向きの作品のような気がする。久しぶりの下北沢でショックだったのは、お気に入りのレモネードの店がなくなっていたこと。帰りは、代々木上原で降りて小田急OXで買物。ここも5ヶ月ぶり。

マルコ・スパーダ

クラシカジャパンで、ボリショイバレエの「マルコ・スパーダ」を見る。グラン・パ・クラシックで有名なオーベールのオペラの音楽をいろいろとつなげて構成した作品ということ。実はオーベールはオペラを沢山残していて、オペラの中のバレエシーンの音楽が後にバレエ音楽として使われているとのこと。この作品は、ピエール・ラコットがヌレエフのために振付たものとのことで、男性ダンサーの足さばきが見もの。

フラッチのジゼル

クラシカジャパンでは、古い映像をよく放映してくれる。カルラ・フラッチ主演の「ジゼル」の映画は1968年の製作。デビッド・ブレアの改訂振付で、アルブレヒトはエリック・ブルーン。その他の出演はABT。フラッチのバレエは初めて見るが、可愛らしい。

VHSの整理 ダヴィッド同盟舞曲

シューマンのピアノ曲にバランシンが振り付けた作品。亡くなる3年前1980年初演で、その翌年にスタジオで録画されたもの。男女4組のみで、コールド・バレエは登場しない。初演とほぼ同じキャストなのだが、男性は、ジャック・ダンボワーズと、デンマーク出身三人組、ピーター・マーティンス、アダム・リューダース、イブ・アンデルセンの四人。四人共スザンヌ・ファレルのパートナーをつとめたダンサー。女性はスザンヌ・ファレルを初め、全員髪をおろして、前髪を後ろでたばねてリボンをつけるというバランシン好みのスタイル。この四人の女性は、バランシンとしてはすべてスザンヌ・ファレルだったのではないだろうか。つまり、その時のファレルと、数年後のファレルと、十代の時のファレルと、結婚する前のファレル。実際、数年後には、数年後のファレルの役も踊ったそうだ。

VHSの整理 バリシニコフの「ドン・キホーテ」

WOWOWで、ロイヤルバレエの「ドン・キホーテ」を見る。高田茜のキトリは良かったが全体的にちょっと長すぎる。正味2時間以上で、休憩を入れれば、3時間近い。改めて、ABTのバリシニコフ版の「ドン・キホーテ」を見てみると、賞味1時間半、休憩を入れても2時間。実にコンパクトに出来ている。プロローグはほとんどなく、幕があがるとマイムではなくすでに踊りが始まっている。第二幕ではジプシーは登場するが、ジプシーたちの踊りはなし。代りにバジルが踊る。居酒屋でもバジルが踊る。とにかく、バリシニコフが踊るために作られた版なので、バジルがとにかく躍る。プロードウェイミュージカルのようだと酷評する人もいたが、やっぱり、見ていて楽しいし、退屈しない。サント・ロカストの美術もいい。衣装の色彩もいい。大好きなバレエなのだが、このビデオ実はあまり見ていない。エスパーダを踊っている、パトリック・ビッセルが素敵だからである。バリシニコフよりも恰好いい。数年後、彼が亡くなるなんて誰も想像できなかったはずだ。30年以上前のことだが、やはり見るのはつらい。

「くるみ割り人形」の初演

クラシカジャパンで、ベルリンシュターツバレエの「くるみ割り人形」を見る。初演の再構築を目指した上演。といっても、初演の振付はほとんど失われているので、美術、衣装の再現というところが大きい。第二幕の人形の王国のセットは、「眠りの森の美女」「白鳥の湖」と同じような世界観で作られており、まさに王国。そこには女王様がいて、側近がいる。衣装の色彩も華やか。クララとくるみ割り人形は、ねずみとの闘いが終わるまでは子供で、そこから大人に変身。くるみ割り人形は人形の王国の王子という設定。二人はドロッセルマイヤーに連れられて王国に行き、グラン・パ・ド・ドゥはクララと王子が踊る。最後に、二人は王国の王と王妃になる。これは夢ではなく、現実という終わり方。必ず、クララを現実に戻す演出がほとんどなので、この終わり方は新鮮。メンバーの中には日本人が数人いる。他のドイツのバレエ団同様、ここもインターナショナルなバレエ団のようだ。

モース警部系列作品

イギリスの刑事物は、一話完結でも100分と長いし、事件が暗くて陰鬱だし、事件の関係者の人数が多いし、カーチェイスや撃ちあいのようなアクションが少ないし、笑いがないし、アメリカのものに比べるとちょっと退屈。「主任警部モース」はそれに加えて、モースがちょっと上から目線のひねくれた性格なので、より一層難解。しかし、スピンオフの「ルイス警部」「モース刑事」を見始めると、俄然面白くなってきた。「モース刑事」はモースの若い頃の話なので、舞台は60年代。パワハラ、セクハラ、あたり前、警察内部は腐敗、戦争の爪痕もある時代、若いモースがどう生き抜いたかというドラマ。後付けとはいえ、生涯独身だったモースが、心を寄せる女性がいたり、付き合う女性もいたが、結局、生涯女性に惚れやすく、同情しやすく、だまされやすい性格だったことがわかる。後に上司になるストレンジ、検視官のマックスとは、若い頃からの付き合いだったこともわかる。特にストレンジは、さりげなくモースを守っていたことがわかる。モースの死後の「ルイス警部」はモースのパートナーだったルイスが主役。当然、モースの名前がよく出て来るし、モースの好きだったワーグナーはモースのテーマのように流れる。エンデバー(モースのファーストネーム)賞という若い音楽家のための奨学金があって、匿名だとはえ言え、明らかにモースの寄付による奨学金。モースは一人寂しく亡くなるが、ルイスは奥さんに先立たれたとはいえ、子供も孫もいて、新しいパートナー(検視官)も出来て、モースよりは明るい老後をおくれるようだ。最後の方は、ルイスがかつてのサーズデー、パートナーのハザウェイがかつてのモースのような関係性になってくる。今後、スピンオフのスピンオフで、ハザウェイ主役のドラマが作られるだろうか。「モース刑事」はまだ製作されそうなので、どこまでやってくれるか楽しみ。

リブート

アメリカのドラマはリブート流行りだ。そもそも、リブートって何?って感じだったし、「ハワイ5-O」を現代版で製作するという話も、え?って感じだったが、いざ見てみると、面白い。結局9シーズンまでやる成功作に。その後、「マクガイバー」「SWAT」「マグナム」と成功続き。オリジナルがあるとは言え、全く新しい発想なので、面白い。「ハワイ5-O」は、オリジナルのメインテーマをそのまま使っていたり(時代を超えた名曲)、オリジナルに出演していた人物が同じ役で出てきたり(エドワード・アズナール)、オリジナルの出演者の息子が出ていたり(デユーク)、懐かしさも堪能できる。オープニングのマクギャレットを紹介する演出がオリジナルと全く同じなのも感激だ。因みに、新生マグナムは、チャラチャラした陽気な探偵だが、元祖マグナムは、今「ブルーブラッド」で深刻な役をやっていて同じ役をやっていた人とはとても思えない。それもまた面白い。

海賊

BSプレミアムで、ミラノ・スカラ座バレエの「海賊」を見る。アンナ・マリー・ホームズの構成・演出。「海賊」を全幕で上演するのは、以前はキーロフ・バレエくらいで珍しかったが、最近は上演するところが増えてきた。イタリアのバレエ団なので、衣装が華やかで、見応えがある。しかし、このバレエで不可解なのは、アリの存在だ。パ・ド・ドゥ(全幕上演ではパ・ド・トロワ)を踊るので必要な役なのだが、ストーリーにはほとんど絡まない。しかし、そこそこのダンサーが踊るので、何とかしようと思っても、他の見せ場は作れない。グリゴロヴィッチは、ついにアリの役をなくしたそうだが、まだ見る機会がない。

チェリスト

BSプレミアムで、英国ロイヤルバレエの「チェリスト」を見る。キャシー・マーストン振付。天才チェリストで、ダニエル・バレンボイムの最初の妻で、二十代で多発性硬化症になり若くして亡くなった伝説のチェリスト、ジャクリーヌ・デュプレの生涯を描いたバレエ。少女時代から死までを描いていて、チェロを擬人化したり、コンサートやメディカル検査をバレエで表現するという異色作品。彼女の人生については映画化もされているし、舞台作品にもなっているが、バレエというのはちょっと意外な発想。ところで、生前のデュプレの映像を見ると、彼女は大柄で存在感があるので、一緒にいるダニエル・バレンボイムが子供みたいに見える。

時系列で見るバランシン周辺

1961年 スザンヌ・ファレル、NYCB入団。
1968年 ゲルシー・カークランド、NYCB入団
1969年 ピーター・マーティンス、NYCBに移籍。スザンヌ・ファレル、NYCBを退団。
1974年 バリシニコフ、アメリカに亡命。ゲルシー・カークランド、ABTに移籍。
1975年 スザンヌ・ファレル、NYCBに復帰。
1978年 バリシニコフ、NYCBに移籍。
1980年 バリシニコフ、ABTに復帰。
1983年 バランシン、死去。

デンマーク・ロイヤル・バレエ

ピーター・マーティンスが、デンマーク・ロイヤル・バレエからニューヨーク・シティ・バレエ(NYCB)に移籍した後、アダム・リューダース、イブ・アンデルセンも同じようにNYCBに移籍した。三人の共通点は、背が高く、品のあるイケメンで、ブルノンビル・システムによるバレエの基礎がしっかりしていて、控え目なこと。そして、三人共、スザンヌ・ファレルのパートナーをつとめていること。しかし、三人の個性はそれぞれで、それぞれ素晴らしい。ただバランシンの好みだったというだけではないだろう。因みに、現在、デンマーク・ロイヤル・バレエの芸術監督とつとめているニコライ・ヒュッペも90年代にNYCBに在籍していた。

ウィンナーワルツ

YouTubeで、1983年に行われたバランシンの追悼公演を見る。「ウィンナーワルツ」全曲を見たのは初めて。ヨハン・シュトラウス、レハール、リヒャルト・シュトラウスの曲が使われている優雅な作品。フィナーレのリヒャルト・シュトラウスのワルツの場面が素晴らしく、そこだけ抜粋で上演されることもある。そこに出演するスザンヌ・ファレルが出色。バランシンがいかに彼女を愛していたかがよくわかる。そして、さらに素晴らしいのはパートナーのアダム・リューダース。まるで、影のようにサポートする。バランシンがめざしているのは、ファレルの素晴らしさで、パートナーに求められるのは、それを絶対に邪魔しない存在。リューダースはまさしくそういう存在なのだ。

ウィニペグ・バレエの「ムーランルージュ」

クラシカジャパンで、カナダ・ウィニペグ・バレエの「ムーランルージュ」を見る。タイトルの示す通り、ムーランルージュを舞台にしたロマンス。音楽は、オッフェンバック、ヨハン・シュトラウス、ラベル、ドビュッシー、マスネー、ショスタコービッチ、イベールなどの他、シャンソンやタンゴも入っていて多彩。三野洋祐がロートレック役を踊っている。他のダンサーに比べると背が低いので、ぴったりとも言えるが、健康的に踊るロートレックというのは初めちょっと違和感があった。しかし、踊りは内面の表現だと思って見れば納得できる。作品全体が、ロートレックの目線で作られており、ロートレックの描く絵のような印象。ただ、このロートレックは面倒見が良すぎ。